Q&A

疑問解決コーナー

井戸掘削で満足する揚水量の井戸を掘りあてましたが、水質分析結果でヒ素の値が 0.013mg/Lでした。基準値は0.01mg/Lです。四捨五入すれば0.01mg/Lとなるので合格になるという考え方はできませんか。
(H.T、アフリカ)
A

有害物質の水質基準はヒトへの健康影響からその値が決められています。ヒ素のように慢性毒性を示す物質の場合、長期にわたり継続してその水を摂取した場合を想定し、安全率をみながら、健康被害がない濃度として決められています。そして、その値を超えてはならない、としています。  基準値が0.01mg/Lである場合、0.011mg/Lは超過とみなし、水道水としては不適当になります。そのため、公的な水質検査方法には基準値の10分の1の値まで測定できる感度が要求されています。  基準値を超えるのが一時的な場合は、その旨を利用者に伝えて注意して使用してもらう、ということも可能ですが、常に基準値を超える場合、確実に基準値以下にヒ素を除去する手段がない限り、水道原水としては不適当です。利用者の健康に関わることですので、基準値をゆるめて考えるべきではありません。

 ヒ素だけでなく、健康影響がある物質については、すべて同様に考える必要があります。 水質基準でも、利便性のために定められている項目(濁度、色度、塩化物イオン、鉄、マンガンなど)については、やはり常に基準値を超えるというのは望ましくありません。しかし、国によっては将来基準値以下にすることを前提に、基準超過でも運用を開始することがあります。ただし、日本ではこのような運用は認められていません。水道事業を開始する時点で、すべての水質基準項目が基準値を満足していなければならないのです。

回答者:笹山 弘(日本水道協会)